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未遂と不能犯の違い

 未遂と不能犯の違いを簡単にまとめると以下の通りです。

 

「未遂」

  • 重視する点:

 法益侵害の危険性があったかどうか

  • 考え方:

 行為が法益を侵害する可能性があったが、結果が発生しなかった場合。結果的に成功しなくても、危険性があれば未遂として処罰される。

 

 例: 銃を撃ったが弾が外れた場合、毒を入れたが致死量に達しなかった場合など。

 いずれも「たまたま結果が発生しなかっただけで、死んでいたかもしれない」という状況。

 

「不能犯」

  • 重視する点:

 結果発生が絶対に不可能であるかどうか

  • 考え方:

 行為自体が結果を引き起こす可能性がまったくなく、法益侵害の危険性がない場合。

 結果発生が絶対に不可能な行為は不能犯として無罪。

 

例:

 ワラ人形に呪いをかけたり、炊飯器に硫黄を入れて人を殺そうとした場合など。

 これらは「結果が絶対に起こらない」ため、不能犯となる。

 

絶対不能と相対不能

  • 絶対不能:  結果が絶対に発生しない場合(例:硫黄で殺そうとしたが不可能)。
  • 相対不能:  状況次第で結果が発生する可能性がある場合(例:致死量の毒に達しなかったが、条件が整えば死に至る可能性がある)。