有責性とは?
有責性は、犯罪が成立するための要件の一つであり、犯罪者がその行為について責任を負うべき状態にあるかどうかを判断するものです。
犯罪が成立するためには、構成要件に該当し、違法であり、さらに有責性があることが必要です。
これにより、行為者がその行為について責任を問われることができます。
1. 有責性の定義
有責性とは、行為者が自らの行為について責任を持つことができる状態であるかどうかを指します。
具体的には、以下の条件を満たす必要があります。
- 自由意志:
行為者は自らの行動を選択する自由があり、違法行為を行う選択をすることも可能であった。
- 行為の弁別能力:
行為者はその行為が違法であるかどうかを判断する能力を持っている。
- 行動の統制能力:
行為者は自らの行動を適法にコントロールする能力を持っている。
これらの能力が欠如している場合、つまり自由意志や行動統制能力がない場合は、有責性がないとされ、犯罪が成立しない可能性があります。
2. 心神喪失と心神耗弱
心神喪失者と心神耗弱者については、有責性の考慮が異なります。
- 心神喪失(刑法第39条第1項):
精神障害により、事物の是非善悪を弁別する能力がないか、またはこの弁別に従って行動する能力がない者を指します。
このような者の行為は責任を問われないため、無罪となります。
- 心神耗弱(刑法第39条第2項):
精神状態が著しく減退しており、弁別能力や行動統制能力が著しく低下している者を指します。
心神耗弱者の行為については、責任能力が部分的に欠けているとされ、その刑は減軽されることがあります。
3. 責任年齢
- 14歳未満の者(刑法第41条):
14歳未満の者の行為は、責任能力がないとされ、罰されません。
これは、行為者がまだ十分に倫理的・法的判断をする能力がないと見なされるためです。
まとめ
有責性は、犯罪の成立において重要な要件であり、行為者が自らの行為に対して責任を持つことができるかどうかを判断する基準です。
心神喪失や心神耗弱、そして14歳未満の者については、それぞれ異なる扱いがされ、責任能力が問われるかどうかが決まります。
これにより、刑事責任の適切な範囲を定めることができます。
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