犯罪の成立には、以下の3つの要件が満たされる必要があります。
- 構成要件該当性
- 違法性
- 責任(有責性)
1. 構成要件該当性
「構成要件」とは、刑法に定められた具体的な犯罪行為を指し、その行為が刑法の「〇〇をした者は処罰される」といった規定に該当するかどうかを判断する基準です。
たとえば、殺人罪では「人を殺す」という行為が構成要件に該当します。
重要なポイントとして、構成要件に該当しない行為は、社会的や道徳的に非難されるべきものであっても、刑罰の対象とはならず、これは罪刑法定主義に基づいています。
罪刑法定主義とは、法律に明確に定められていない行為については処罰されないという原則です。
2. 違法性
構成要件に該当する行為は、通常「違法」であると推定されますが、すべての行為が違法であるとは限りません。
一定の条件が揃えば、違法性が否定される場合もあります。
これを「違法性阻却事由」と呼び、例外的な状況で犯罪が成立しない根拠となります。
- 違法性阻却事由
主な違法性阻却事由には以下のものがあります:
- 正当行為(刑法35条):
法律や正当な業務に基づく行為。
例としては、医師が手術で患者の身体を切る行為や、死刑執行人が職務として人を処刑する行為です。
- 正当防衛(刑法36条):
急迫不正な侵害に対して自己や他人の権利を守るためにやむを得ず行った行為。
- 緊急避難(刑法37条):
現在の危機から自己や他人の生命、身体、財産を守るために、避けようとする害の程度を超えない範囲でやむを得ず行った行為。
これらの違法性阻却事由が認められる場合、行為自体は構成要件に該当していても、違法性が否定され、処罰されません。
3. 責任(有責性)
犯罪が成立するためには、行為者に責任能力があり、その行為について責任を負うべき状況であることが必要です。
責任能力がない、または行為者が特定の理由により非難されるべき状況にない場合、有責性が否定され、犯罪は成立しません。
これにより、構成要件に該当し、違法であっても、行為者に責任を問うことができない場合、最終的に犯罪は成立しません。
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