2つの特例「空き家特例」と「小規模宅地の特例」について、以下の点において異なりがあります。
1. 取得者の要件
- 空き家特例:
相続人または包括受遺者(個人のみ)が対象。相続人以外の特定受遺者は適用不可。
- 小規模宅地の特例:
自宅不動産を相続・遺贈で取得した親族が対象。第三者の受遺者は適用不可。
2. 土地のみの取得
- 空き家特例:
建物に対する特例のため、土地のみの取得では適用不可。
建物を相続してから取り壊して土地のみを売却する場合は適用される。
- 小規模宅地の特例:
土地のみの取得でも適用可能。
建物が他の相続人等によって取得されても問題なし。
3. 建物の建築時期
- 空き家特例:
昭和56年5月31日以前に建築された建物に限る。旧耐震基準の建物に限定。
- 小規模宅地の特例:
建築時期に制限なし。
4. 譲渡の時期
- 空き家特例:
相続開始後3年を経過する日が属する年の12月31日までの譲渡に限る。
- 小規模宅地の特例:
譲渡期限なし。ただし、相続税の申告期限まで譲渡不可(配偶者は除く)。
5. マンションにおける適用
- 空き家特例:
マンションには適用不可。
- 小規模宅地の特例:
マンションの敷地権については適用可能。
6. 一次相続における適用可否
- 空き家特例:
一人暮らしの要件が必要であり、配偶者がいる場合でも別居していれば適用可。
- 小規模宅地の特例:
一次相続でも適用可能。
ただし、「家なき子特例」は配偶者がいないことが要件。
7. 母屋と離れがある場合の適用対象部分
- 空き家特例:
母屋に対応する敷地のみが特例の対象。
- 小規模宅地の特例:
用途上不可分な建築物の敷地全体を特例対象とできる。
8. 老人ホーム等の種類
空き家特例と小規模宅地の特例: 両方とも同じ施設に適用される。
9. 老人ホーム入居後の自宅の使用制限
- 空き家特例:
入居後、自宅は被相続人以外の用途に使ってはいけない。
使用貸借や商売も禁止。
- 小規模宅地の特例:
自宅の使用について制限なし。
生計一親族の使用や使用貸借も可能。
10. 相続開始日~譲渡日までの自宅の使用制限
- 空き家特例:
相続開始日から譲渡日までの使用は認められない。
- 小規模宅地の特例:
配偶者、同居親族、家なき子に応じて制限が異なるが、空き家特例ほど厳しくない。
11. 老人ホームの入居期間
空き家特例と小規模宅地の特例: 入居期間に制限なし。
12. 要介護認定の時期
空き家特例と小規模宅地の特例: 要介護認定の時期に関する制限があるが、内容は同じ。
これらの要件を把握することで、どちらの特例が適用可能かを正確に判断できます。
どちらの特例を適用するかは、具体的な状況に応じて選ぶ必要があります。
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