それぞれのケースについてです。
1. 未分割申告後、適正に手続きしている場合
- 概要:
当初申告時に遺産分割が確定していなかったために未分割申告とした場合、遺産分割確定後4ヶ月以内に更正の請求をした場合に、小規模宅地の特例の適用が認められるかどうかです。
- 回答:
可能です。
当初申告において申告期限後3年以内に分割見込書を添付し、さらに分割が固まらない場合には承認申請書を提出し承認を得た場合には、小規模宅地の特例の適用が認められます。
適正な手続きをしている場合には、更正の請求でも特例の適用が可能です。
- 解説:
小規模宅地の特例の適用には、当初申告の要件として分割見込書の提出が必要です。
また、申告期限から3年以内に分割が確定しない場合には承認申請書を提出し、その承認を受けることが必要です。
これらの手続きが適正に行われていれば、更正の請求においても特例の適用が可能です。
2. 分割確定から4ヶ月以内に更正の請求をしなかった場合
- 概要:
当初申告で未分割申告をし、その4年後に遺産分割が確定したが、更正の請求を分割確定から6ヶ月後に行った場合、小規模宅地の特例の適用が可能かどうかです。
- 回答:
適用できません。
分割確定日から4ヶ月以内に更正の請求をしないと、小規模宅地の特例の適用は認められません。
ただし、配偶者の税額軽減については、相続税の申告期限から5年以内であれば更正の請求が可能です。
- 解説:
小規模宅地の特例には「当初申告要件」があり、分割確定後4ヶ月以内に更正の請求を行う必要があります。
この期限を過ぎると特例の適用はできません。
配偶者の税額軽減には当初申告要件がないため、申告期限から5年以内であれば適用されます。
3. 承認申請書の提出を忘れた場合
- 概要:
未分割申告後3年経過しても遺産分割が確定せず、承認申請書を2ヶ月以内に提出しなかった場合に、小規模宅地の特例の適用が可能かどうかです。
- 回答:
適用できません。
承認申請書の提出を失念した場合には、小規模宅地の特例の適用はできません。
- 解説:
承認申請書の提出に関しては、宥恕規定が設けられていないため、提出を忘れた場合には特例の適用が不可能です。
4. 遺贈により取得した土地について小規模宅地の特例をしなかった場合
- 概要:
自宅の土地について当初申告で小規模宅地の特例を適用せず、全ての遺産分割が固まった後の更正の請求時に自宅も含めて特例を適用しようと考えていた場合、特例の適用が可能かどうかです。
- 回答:
適用できません。
当初申告において自宅が長男に相続されることが決まっていたため、当初申告時に特例の適用をしなければなりません。
未分割財産として申告することができるのは、当初申告において未分割であることが必要です。
- 解説:
小規模宅地の特例には当初申告要件があり、遺産分割が固まっていない部分のみ特例の適用が可能です。
自宅が長男に相続されることが決まっている場合は、未分割財産として申告できず、特例の適用は難しくなります。
5. 遺留分侵害額請求に伴う更正の請求の場合
- 概要:
遺留分侵害額請求により、次男がB土地を取得した場合に、次男がB土地について小規模宅地の特例を適用できるかどうかです。
- 回答:
適用できません。
遺留分侵害額請求によって取得した土地については、小規模宅地の特例の適用はできません。
- 解説:
遺留分侵害額請求により取得した財産は、相続とは別取引とみなされるため、小規模宅地の特例の適用ができません。
特例の適用は、原始的に取得した相続財産に対してのみ認められるため、遺留分請求による取得は対象外となります。
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