特別受益の持ち戻し免除についての説明です。
特別受益の持ち戻し免除
- 概要:
特別受益の持ち戻し免除とは、遺言者(被相続人)が特定の相続人に対して過去に贈与や遺贈をした場合、その贈与や遺贈を相続分に含めず、遺産分割の際にその贈与や遺贈を考慮しないようにするための制度です。
これにより、特定の相続人に多くの財産を分け与えたいという遺言者の意思を尊重します。
- 特別受益とは:
特別受益とは、相続人の中で、被相続人から遺贈や贈与を受けた者がいる場合に、その受けた財産を相続財産に加えた上で、遺産分割を行う制度です。
これにより、相続人間の公平を図ります。
持ち戻し免除の種類:
- 持ち戻し免除の意思表示:
遺言者が、特定の贈与について持ち戻し免除をする意志を遺言や書面で明示すること。
遺言書や贈与契約書に記載する形で行います。
- 持ち戻し免除の意思表示の推定規定:
遺言者が明示的に意思表示をしていなくても、一定の条件下で持ち戻し免除の意思があったと推定される場合です。
例えば、婚姻期間が20年以上の配偶者に対する居住用不動産の贈与が該当します。
民法の関連条文:
- 民法第903条第3項:
被相続人が持ち戻し免除の意思表示をしていた場合、その意思に従うと規定されています。
- 民法第903条第4項:
20年以上の婚姻期間を有する配偶者に対する居住用不動産の贈与については、持ち戻し免除の意思表示があったと推定されます。
持ち戻し免除と遺留分の関係:
持ち戻し免除があっても、遺留分についてはその贈与を含めて計算されるため、遺留分に対抗することはできません。
平成30年の相続法改正後も、遺留分に対する影響は変わらず、遺留分の計算には特別受益が含まれます。
このように、特別受益の持ち戻し免除は、遺言者の意志を尊重するための制度でありながら、相続人間の公平性を維持するための特別受益制度とは異なる側面を持っています。
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