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囲繞地通行権(いにょうちつうこうけん)

 囲繞地通行権(いにょうちつうこうけん)とは、他の土地に囲まれて公道に出られない土地(「袋地」)の所有者が、その周りの土地(「囲繞地」)を通って公道に出るための権利です。

 

 これは、民法210条で規定されており、土地の所有者が孤立しないようにするための重要な権利です。

 

囲繞地通行権の主な内容

  • 袋地と囲繞地:

 「袋地」とは、周囲を他の土地に囲まれ、公道に直接通じていない土地を指します。

 「囲繞地」とは、袋地を取り囲んでいる周辺の土地のことです。

 

  • 通行権の条件:

 袋地の所有者は、公道に出るために囲繞地を通る権利を持っています。

 これは自然な権利として認められており、通行のために必要な場合には通路を新しく開設することも可能です。

  • 通行の場所と方法:

 通行の際には、袋地所有者は通行する場所と方法について、最も損害が少ない選択をしなければなりません。

 自由に好きな場所を通行できるわけではなく、囲繞地の損害を最小限にする必要があります。

  • 償金の支払い:

 通行することで囲繞地の所有者に損害を与える場合は、償金を支払う義務があります。  

 償金は一年ごとに支払うことができ、まとめて支払うことも可能です。

  • 例外:

 土地の分割による場合: もし土地の分割によって袋地が発生した場合は、その袋地の所有者は、他の分割された土地を無償で通行することができます。

 この場合には償金を支払う必要がありません。

 

 囲繞地通行権は、土地所有者が孤立することなく生活できるようにするための権利であり、公平な通行を実現するための重要な制度です。