この裁判(平成26年9月25日 最高裁判決)のポイントは、借地借家法第32条1項に基づく賃料増減請求に関する訴訟において、確定判決の既判力の範囲を明確にする点です。
最高裁の見解
- 賃料増減請求権の性質:
借地借家法32条1項に定める賃料増減請求権は「形成権」であり、請求がなされた時点で、その範囲内で相当とされる額について将来に向けた効果が生じます。
請求の時点から賃料の変更が有効となるため、新たな請求がない限り、その後の賃料の増減には影響を及ぼしません。
- 既判力の範囲:
賃料増減額確認請求訴訟において、裁判所が賃料の増減を決定する際、その効果が生じた時点以降の事情については、別途新たな賃料増減請求が行われない限り、直接的に影響することはありません。
判決の既判力は、賃料増減請求が生じた時点での賃料額に関する判断に限定されます。
- 継続的な法律関係:
賃貸借契約は継続的な関係であり、判決で確定された賃料額がある場合、通常はそれに基づき当事者間の紛争は直接かつ抜本的に解決されるとされます。
- 判決の既判力
この判決の既判力は、原告が特定の期間の賃料について確認を求めた特段の事情がない限り、賃料増減請求の効果が生じた時点の賃料額に関する判断に生じます。
特定の期間の賃料について確認を求めるものではなく、基本的には請求時点での賃料に限られます。
- 結論
この判決によって、賃料増減請求訴訟における確定判決の既判力が、あくまで賃料増減請求が生じた時点の賃料額に関する判断に限られ、その後の賃料については新たな請求が必要であることが確認されました。
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