この判決(昭和55年10月23日最高裁判決、昭和55(オ)589)は、売買契約に基づく所有権確認訴訟の確定判決がある後に、詐欺を理由にその売買契約を取り消して所有権の存否を争うことができるかについての最高裁の見解を示しています。
最高裁判所の見解
既判力の影響売買契約による所有権の移転を請求原因とする所有権確認訴訟が行われた場合、訴訟の当事者が詐欺による取消権を行使できたにもかかわらず、事実審の口頭弁論が終結するまでに取消権を行使しなかった場合、以下のように扱われます。
確定判決後の争いの制限売買契約による所有権の移転を認める判決が確定した場合、その判決には既判力が生じます。
したがって、その後の訴訟で詐欺を理由として売買契約を取り消し、所有権の存否を再度争うことは許されなくなるというのが最高裁の見解です。
- 判決の趣旨
この見解は、確定した判決には既判力があり、同じ事項について再び訴訟を提起して争うことを防止するという法の基本的な考え方に基づいています。
詐欺による取消しなどの主張が可能であったにもかかわらず、それを行使せずに判決が確定した場合、後の訴訟で取消しを主張して判決結果を覆すことは許されないとされています。
- 結論
所有権確認訴訟において確定判決が出た後に、詐欺を理由として売買契約を取り消し、所有権の存否を再度争うことは、既判力により許されないという結論になります。
これは、訴訟手続きの一貫性や紛争の早期解決を重視する法的原則によるものです。
コメントをお書きください