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主債務者勝訴の判決を根拠に請求異議

 この判決(昭和51年10月21日最高裁判決、昭和49(オ)937)は、保証人が確定した保証債務履行請求訴訟に対して、主債務者勝訴の判決を根拠に請求異議を申し立てることができるかについての最高裁の見解を示しています。

 

最高裁判所の見解

 

 保証人の敗訴判決と主債務者勝訴判決の関係一般的には、保証人が債権者からの保証債務履行請求訴訟において、主債務者勝訴の確定判決を援用することで保証人が勝訴する可能性があります。

 

 しかし、以下の条件下では異なります。

 

 保証人の敗訴判決確定後の主債務者勝訴判決もし保証人が既に敗訴の確定判決を受けている場合、その後に主債務者が勝訴したとしても、主債務者の勝訴判決が保証人敗訴の確定判決の事実審口頭弁論終結の時までに生じた事由に基づいてされている場合には、保証人はこの主債務者勝訴の判決を援用して、保証人敗訴の判決に対する請求異議を申し立てることはできないと解されます。

  • 判決の趣旨

 この見解は、既に保証人が敗訴して確定判決を受けた後に、後から生じた主債務者の勝訴判決がその前の事実に基づくものであれば、その時点での確定判決の効力を否定することはできないという原則に基づいています。

  • 結論

 保証人は、主債務者の勝訴判決を根拠に請求異議を申し立てることができる場合があるものの、既に確定している敗訴判決に関しては、その事実審口頭弁論終結時までに生じた事実を理由とする限り、請求異議の余地が認められないとされています。