この裁判(昭和47年2月15日最高裁判決、昭和43(オ)627)では、遺言無効確認の訴えの適否について、最高裁判所が見解を示しています。
最高裁判所の見解
- 遺言無効確認の訴えの形式
「遺言無効確認の訴え」は、過去に行われた遺言が無効であることを確認する請求に基づいて提起されるため、形式上は過去の法律行為(遺言)の確認を求めるものとなります。
しかし、これが単に過去の行為を確認する形式にとどまらず、遺言が有効である場合に生じる現在の特定の法律関係が存在しないことの確認を求めるものと解釈されることがあります。
- 法律上の利益がある場合の適法性
このようなケースで、原告が遺言無効確認の訴えを通じて確認を求めることに法律上の利益がある場合には、この訴えは適法とされ、裁判所で認められうるとされています。
- 請求趣旨の簡潔さ
遺言が無効であることの確認を求める場合、その請求の趣旨を個別的な法律関係に還元して表現する必要はないとされています。
つまり、特定の法律関係に具体的に言及せずとも、訴訟の目的が明確であり、どの権利関係に関して審理が行われるかは十分に理解されるため、明確さを欠くことはないということです。
- 判決の効果
判決においては、当事者間の紛争の中心となる遺言の無効性についての判断を示すことで、確認訴訟のもつ紛争解決機能が果たされるとされています。
これにより、訴訟を通じて、遺言が有効か無効かという基本的な法律関係の確認が行われ、当事者間の法的な紛争が解決されるという目的が達成されます。
- 結論
この判決は、遺言無効確認の訴えが適法である場合には、法律上の利益が存在し、現在の特定の法律関係が存在しないことの確認を求めることができるという見解を示しています。
訴えの形式は遺言の無効確認であっても、その実質的な目的が現在の法律関係に関するものである場合、適法性が認められます。
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