· 

親子関係の確認が死亡後も訴訟によって追行できる

 この裁判(昭和45年7月15日最高裁判決、昭和43(オ)179)では、父母の両者または子のいずれか一方が死亡した後における親子関係存否確認の訴訟が認められるかどうかについて、最高裁判所が見解を示しました。

 

最高裁判所の見解

  • 親子関係の確認の重要性

 親子関係は、父母の両者または子の一方が死亡した後でも、生存している一方にとって基本的な身分関係であり、法律上の重大な効果を持ちます。

 

 そのため、真実の親子関係に基づいた法律紛争の解決が必要である場合、親子関係の確認を求めることは正当な利益が認められます。

  • 戸籍法の適用

 親子関係が戸籍に誤って記載されている場合、戸籍法第116条に基づき、確定判決を取得し、その記載を訂正することが可能です。

 

 これにより、真実の親子関係を明らかにする利益が守られるとされています。

  • 人事訴訟手続法の類推適用

 人事訴訟手続法では、婚姻の無効や養子縁組、認知の訴訟について、当事者の一方が死亡した場合でも訴訟を追行できると定めています。

 

 これに基づき、親子関係の確認も同様に、生存している当事者に対して訴訟が提起され、相手方が死亡している場合は、検察官を相手方として訴訟を進めることが適切であるとされています。

  • 判例変更

 この判決は、昭和28年(オ)第1397号の最高裁判決(昭和34年5月12日第3小法廷判決)で示された従来の見解を変更し、親子関係の確認が死亡後も訴訟によって追行できるとする新しい判断を下しました。

  • 結論

 この裁判のポイントは、父母の両者または子のいずれか一方が死亡した後でも、親子関係の確認の訴訟が認められるということです。

 

 この場合、訴訟の相手方が検察官となり、親子関係に関する法律紛争を解決するための訴訟が追行可能であるとしています。