この最高裁判決(平成26年2月14日、事件番号平成23(受)603)においては、相続分を全て譲渡した共同相続人が「遺産確認の訴え」に関与する当事者適格を有するかどうかが争点となりました。
最高裁判所の見解:
- 遺産確認の訴えの目的:
遺産確認の訴えは、特定の財産が遺産分割の対象であるか否かを確定し、共同相続人間の紛争を解決するために行われるものです。
この訴えは、全ての共同相続人が関与し、合一に確定することが求められる固有必要的共同訴訟です。
これは、過去の最高裁判決に基づく解釈です。
- 相続分の譲渡と当事者適格:
しかし、共同相続人のうち、自身の相続分の全部を譲渡した者は、遺産全体に対する持分を全て失い、遺産分割に関与する権利を失うとされています。
つまり、そうした相続人はもはや遺産分割手続きで遺産の分割を求める権利がなく、遺産帰属性を確定する必要性もないということになります。
- 結論:
そのため、相続分を全て譲渡した共同相続人は、遺産確認の訴えにおいて当事者適格を有しないとするのが相当である、という最高裁の判断となっています。
- この判決の意義:
この判決は、相続分を譲渡した相続人が遺産確認訴訟に関与することの適格性を明確に否定することで、相続人間の法的立場を整理し、無用な訴訟の拡大を防ぐ意義を持ちます。
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