この最高裁判決(平成5年10月19日、事件番号平成4(オ)818)では、カーボン複写の方法によって記載された自筆証書遺言について、次のような見解が示されました。
判決の要点
- カーボン複写による自書の方法について
本件では、遺言者(D)が遺言の全文、日付、氏名をカーボン紙を使用して複写の方法で記載した遺言書が問題となりました。
最高裁判所は、カーボン紙を使用することも「自書」(自分で書くこと)の方法として認められないものではないと判断しました。
- 自筆証書遺言の要件に関する解釈
民法968条1項では、自筆証書遺言の作成に際して、遺言者が遺言の全文、日付、および氏名を自筆で書くことが要件とされています。
最高裁は、カーボン紙を使用して記載する方法も「自書」として認められるものであり、したがって本件遺言書は民法968条1項の自書の要件を欠いていないと結論付けました。
- まとめ
この判決は、自筆証書遺言の作成方法について、カーボン複写という技術を使用していても、それが遺言者自身によるものである限り「自書」の要件を満たすとする重要な判断を示しています。
これにより、カーボン紙を用いた方法で作成された遺言書も法律上有効であると認められました。
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