この裁判(昭和46年1月26日最高裁判決)では、遺産分割と第三者に対する対抗関係について最高裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
- 遺産分割の効力の遡及:
遺産の分割は、相続の開始時(つまり被相続人の死亡時)にさかのぼってその効力を生じるとされています。
これは、相続財産が相続人間で分割された場合、その分割の効果が被相続人の死亡時に遡るという一般的な法的原則に基づいています。
- 第三者に対する関係:
ただし、第三者に対する関係においては、遺産分割によって相続人の共有持分に変更が生じた場合、それは分割時に新たな権利の変更が発生するのと実質的に同じであると解されます。
したがって、遺産分割による権利の得喪変更については、民法第177条の適用があるとされます。
- 登記の必要性:
不動産に関する相続人の共有持分が遺産分割により変更された場合、その分割によって新たに取得した権利を第三者に対して対抗するためには、その旨の登記を行う必要があります。
つまり、分割によって相続分と異なる権利を取得した相続人は、その権利を第三者に対抗するためには、分割後に取得した権利について登記を経なければならないと解されています。
- まとめ
この判決により、遺産分割は相続の開始時に遡及して効力を生じるものの、第三者に対する関係では、相続人が相続により取得した権利の変更が発生するのと同じように取り扱われることが確認されました。
したがって、遺産分割による不動産の権利変更を第三者に対抗するためには、分割後の登記が必要とされることが明確にされました。
このため、相続人が遺産分割を行う際には、登記の手続きを怠らないように注意する必要があります。
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