この裁判(昭和56年9月11日最高裁、事件番号:昭和54(オ)1208)では、同一の証書に記載された二人の遺言の一方に方式違背がある場合と、民法975条の適用について最高裁判所が見解を示しました。
最高裁判所の見解
- 同一の証書に記載された二人の遺言
同一の証書に二人の遺言が記載されている場合、そのうち一方の遺言が氏名を自書しないなどの方式違背があるとしても、これらの遺言は民法975条により禁止された「共同遺言」に該当すると解するのが相当であるとしました。
- 判決の意義
民法975条の規定では、二人以上の者が共同で遺言をすることは禁止されています。
これは、遺言が各個人の自由な意思に基づくものであるべきという原則に基づいています。
この場合、同一の証書に二人の遺言が記載され、そのうち一方が法律上の方式(例:自書による署名)に違反している場合でも、全体としてそれが共同遺言とみなされ、無効とされることになります。
- 判決の影響
この判決は、遺言の効力に関する重要な原則を確認しています。
特に、二人以上の者が同一の証書で遺言をすること自体が民法で禁止されている「共同遺言」として無効とされるという点を強調しています。
このため、遺言書を作成する際には、各人が独立した方式に基づいて遺言を行う必要があるという基本的な法律のルールを再確認する機会となっています。
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