アパート経営を法人化するかどうか迷っている方にとって、法人化のメリットは非常に多岐にわたります。主なメリットとしては以下の点が挙げられます。
アパート経営を法人化するメリット
- 所得税率の低減
個人での経営では所得税が累進課税となり、所得が多い場合には最高45%の税率が適用されます。
法人化すると、中小企業規模であれば年間所得800万円以下の部分は約15%、800万円を超える部分も約23%と、個人の最高税率よりも低く抑えられます。
これにより、法人化することで所得税負担が軽減されます。
- 相続税対策が有利
法人化すると、アパートが法人の資産となり、オーナーが亡くなった場合でも個人の相続財産としては扱われません。
また、法人設立後3年が経過すれば、法人の資産評価額が個人の相続税評価額を用いて設定でき、相続税が軽減される可能性があります。
- 相続資産の分割が容易
法人化により、アパートは法人の所有物となり、相続時には法人の株式を分割して相続する形になります。
これにより、相続人間でのトラブルが減り、相続手続きがスムーズになります。
- 経費の計上範囲が広がる
法人では、車両費用や事務所の賃貸料、通信費、接待交際費など、広範な経費が認められます。
これにより、実際の課税対象となる利益を抑え、法人税を軽減できます。
- 役員報酬の設定で税負担を軽減
役員報酬を設定することで、それを経費として計上し、法人の課税所得を減らすことができます。
また、役員報酬の支払いは、将来の年金額の算定基礎にもなるため、老後の生活資金の確保にも役立ちます。
- 欠損金の繰越期間が長くなる
個人事業では赤字の繰越期間が3年間ですが、法人化すると10年間に延長され、長期的な経営戦略が可能になります。
- 認知症対策の強化
法人化しておくと、財産管理が法人の名義となり、認知症のリスクに備えた経営が可能になります。
経営者が認知症になっても、他の役員が事業を継続できるため、経営の継続性が確保されます。
法人化のデメリット
- 売却時の税率が高くなる
法人がアパートを売却する際の税率は個人より高く、最大で約30%の法人税が適用されます。
法人設立後3年以内は資産評価が通常取引価額でされる。
法人化後3年以内の相続では、法人の資産が通常の取引価額で評価されるため、相続税が高くなる可能性があります。
- 運営コストが高くなる
法人化には設立費用や運営費用、税務や会計のコストが発生し、規模が小さい場合はこれらの費用が高くなることがあります。
法人化の目安
アパート経営を法人化するかどうかの判断基準として、課税所得が900万円以上を目安とすると良いとされています。
理由は、課税所得が900万円以上になると、個人経営よりも法人経営の方が、所得税が低くなるためです。
法人化のメリットとデメリットをよく理解し、自身の状況に合わせて最適な判断をすることが大切です。
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