2025年の建築基準法改正のポイントの一つとして、建築確認・検査の対象となる建築物に関する変更があります。
これは、省エネ基準や構造安全性の確保を目的に、消費者が安心して建築物を整備・取得できる環境を構築するためのものです。
現状の問題点と改正の内容
現在、都市計画区域外にある一定規模以下の建築物は建築確認・検査の対象外となっており、都市計画区域内でも審査を省略する制度が適用されています。
しかし、このような規制の範囲が狭いため、省エネ基準や安全性を十分に担保できない建築物が存在していました。
改正によって、建築確認審査の対象となる木造建築物の基準が見直され、これまでは2階建て以上または延べ面積500m²を超える建築物が対象だったものが、今後は2階建て以上または延べ面積200m²超の建築物が対象となります。
一方、審査省略の対象は平屋かつ延べ面積200m²以下の建築物に限定され、建築確認や審査の対象が非木造建築物と統一化されることになりました。
改正前後の規制の違い
具体的には以下のように規制が変わります。
- 木造建築物(都市計画区域内)
改正前:
延べ面積200m²以下かつ階数1階の建築物は一部審査省略の対象、500m²を超えるものは審査対象。
改正後:
延べ面積200m²以下の建築物でも、階数に関わらず審査対象となる。
- 木造以外の建築物(都市計画区域内)
改正前:
延べ面積200m²以下で階数1階の建築物は一部審査省略の対象、
2階以上または延べ面積200m²を超えるものは審査対象。
改正後:
延べ面積200m²以下でも、階数1階であっても一部審査省略の対象となる。
4号特例の変更
現行の4号特例では、一定規模以下の木造建築物について、建築士が設計を行う場合に建築確認時の構造耐力関係規定等の審査・検査が省略されていました。
改正後は、4号の区分が廃止され、審査対象や省略可能な範囲が統一されることで、建築物の安全性が一層確保されるとともに、審査プロセスの効率化が図られます。
伝統的木造建築物に関する特例
さらに、改正により小規模な伝統的木造建築物については、専門知識を持つ建築主事等による審査が行われる場合、従来必要だった高度な構造計算が不要となります。
これにより、伝統的構法を用いた建築物の普及が促進され、地域の文化財保護にも貢献することが期待されます。
まとめ
この改正により、建築物の安全性を確保しつつ、審査プロセスの効率化が図られることで、消費者がより安心して建築物を利用できる環境が整備されます。
また、伝統的木造建築物の保存や普及も後押しされることになります。
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