2025年の建築基準法改正は、日本が目指すカーボンニュートラルや温室効果ガス削減目標の達成に向けた重要なステップとして位置づけられています。
この改正の背景には、エネルギー消費と温室効果ガス排出の削減が強く求められている建築分野が大きな役割を担っているという現状があります。
背景と目的
- カーボンニュートラルの実現:
2050年までにカーボンニュートラルを実現するため、日本政府は2030年までに温室効果ガスを2013年比で46%削減する目標を設定しました。
建築分野は国内のエネルギー消費の約3割、木材需要の約4割を占めており、省エネ対策と木材利用拡大が不可欠です。
- ZEH・ZEB水準の達成:
2030年までに新築建築物でのZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)やZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)水準の省エネ性能を確保し、2050年までには全ての建築物でこの水準を達成することを目標としています。
建築物分野の省エネ対策
- 既存の法制度:
建築物省エネ法では、省エネ性能の底上げや設備導入を促進しています。
2025年度までに省エネ基準適合の義務化や性能表示の推進が進む予定です。
住宅金融支援機構法では、省エネ改修に対する低利融資制度が創設され、省エネ住宅の普及を支援しています。
- 改正の内容:
2023年4月施行の改正建築基準法では、再生可能エネルギー設備の設置に伴う規制の特例が設けられ、市街地環境に配慮しつつ、省エネ対策を後押ししています。
- 木材利用拡大
吸収源としての木材: 木材は炭素を固定する性質があり、木材利用の拡大はカーボンニュートラルに寄与します。
今回の改正では、防火規制や構造規制の合理化により、建築物における木材の利用が促進されます。
- 安全性の確保:
木造建築の増加に伴い、安全性への配慮も重要です。
改正法では、木造建築物の構造規定を強化し、非木造建築物と同等の審査・検査が行われることで、安全性の確保を目指しています。
まとめ
2025年の建築基準法改正は、エネルギー効率の向上と持続可能な木材利用の拡大を通じて、日本の脱炭素社会の実現に向けた取り組みを強化することを目的としています。
これにより、建築分野が日本の気候目標達成に貢献することが期待されています。
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