生命保険の受取人を配偶者にする場合、将来の相続税負担が増える可能性があることについて、以下の点を説明します。
配偶者を受取人にすると相続税が増える理由
- 一次相続と二次相続の違い
生命保険の受取人を配偶者にすると、一次相続では配偶者の税額軽減により相続税がかからないことが多いです。
しかし、その後の二次相続で配偶者が亡くなった際には、配偶者が受け取った生命保険金を含めた財産に対して相続税が課されます。
この二次相続時の税負担が大きくなることが問題です。
相続人の数の影響
一次相続では配偶者と子供が相続人ですが、二次相続では配偶者がいないため、相続人の数が減り、税率が上がりやすくなります。これにより、相続税の負担が増加します。
- 生命保険の非課税枠
生命保険には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。
この非課税枠は、受取人が配偶者であっても子供であっても適用されます。
しかし、配偶者が生命保険金を受け取ることで、二次相続時にその金額が相続財産に含まれ、結果として相続税負担が増加します。
具体的なケースの計算例ケース1:
- 配偶者が生命保険を受け取る場合
遺産総額:預貯金1億円、生命保険1,000万円
相続人:配偶者と子供
- 一次相続(お父さんの相続)
課税遺産総額:1.1億円 - 生命保険の非課税枠1,000万円 - 基礎控除4,200万円 = 2,900万円
相続税総額:(2,900万円 × 15% - 50万円) × 2 = 770万円
配偶者の税額軽減により相続税は0円
子供:770万円 × 5,000万円 ÷ 1億円 = 385万円
- 二次相続(お母さんの相続)
課税遺産総額:預貯金5,000万円 + 生命保険1,000万円 - 基礎控除3,600万円 = 2,400万円
相続税総額:2,400万円 × 15% - 50万円 = 310万円
総相続税:一次相続385万円 + 二次相続310万円 = 695万円
ケース2:子供が生命保険を受け取る場合
遺産総額:同上
相続人:同上
- 一次相続(お父さんの相続)
課税遺産総額:1.1億円 - 生命保険の非課税枠1,000万円 - 基礎控除4,200万円 = 2,900万円
相続税総額:(2,900万円 × 15% - 50万円) × 2 = 770万円
配偶者の税額軽減により相続税は0円
子供:770万円 × 5,000万円 ÷ 1億円 = 385万円
- 二次相続(お母さんの相続)
課税遺産総額:預貯金5,000万円 - 基礎控除3,600万円 = 1,400万円
相続税総額:1,400万円 × 15% - 50万円 = 160万円
総相続税:一次相続385万円 + 二次相続160万円 = 545万円
結論
生命保険の受取人を子供にすることにより、二次相続での相続税負担を軽減することができます。
配偶者を受取人にする場合、一時的な相続税は軽減されるものの、二次相続時に増える可能性が高いため、全体的な税負担を考慮すると、生命保険の受取人は子供にしておく方が有利です。
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