相続対策における資産と負債の整理と共有
相続対策として建物を建てるために金融機関から借入を行い、無事に建物が完成したとしても、借入内容の共有ができていなければ、その対策は不完全です。資産と負債は密接に関係しており、両方の管理が必要です。
- 資産と負債の「見える化」
資産(不動産):
物体として存在するため、確認が容易であり、相続人も具体的にイメージを持ちやすい。
負債(借入):
具体的な形が見えにくいため、借入内容の整理と「見える化」が重要です。
家族での共有の重要性
借入内容の整理を行い、家族が集まる機会(例:正月など)に一度は共有することが推奨されます。
以下のような管理表を作成することで、負債の内容を明確にし、共有しやすくなります。
管理表の例
以下のようなポイントを含む管理表を作成します。
- 資産と負債の整理:
土地建物をセットとして整理。
共同担保として他の不動産を提供している場合も記載。
- ローンの詳細:
借入した金融機関と借入金額。
繰上げ返済時の違約金や連帯保証人の有無、団体信用生命保険(団信)の加入条件などの融資条件。
- その他の条件:
特徴的な融資条件や注意点を「その他」欄に明記。
- 管理表のポイント
関連する土地建物をセットで整理:
ローンの担保として提供する場合、土地建物は不可分の関係にあるため、ひとつの塊として整理することが重要です。
- 担保価値と売却制限:
担保価値が不足する場合は共同担保を設定し、ローン完済までの間、金融機関の承諾なしでは売却や有効活用ができないことを明記。
- 融資条件の明記:
繰上げ返済時の違約金、連帯保証人の有無、団信の加入義務など、各ケースで異なる融資条件を詳細に記載。
- 継続的な管理と共有
相続対策の共有が完了した段階が承継のスタートラインです。
その後も以下の点を定期的に検討し、共有することで円滑な承継が進められます。
- 不動産収支の共有:
定期的に不動産の収支状況を家族と共有。
- 負債の状況の共有:
借入残高や返済計画を定期的に見直し、家族と共有。
- 収支の改善やリスクの予防:
不動産の収益性向上や、リスクの予防策を定期的に検討。
これらの取り組みにより、相続対策が実質的に機能し、円滑な資産承継が実現します
。顧問税理士や不動産コンサルタントの協力を得ることで、負担を軽減し、専門的なサポートを受けることも有効です。
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