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持分なしへの移行や相続に関する対策

 医療法人の持分ありから持分なしへの移行や相続に関する対策について、以下のポイントを考慮することが重要です。

  • 事業承継の対策:

 出資社員が退社し、持分の払戻しを請求する可能性がある場合、相続時の持分も払戻し請求権の対象となります。

 長男が医療法人の理事長を継承する予定であるため、現物出資や生前贈与などの方法を検討して、持分の移転を円滑に行うことが考えられます。

 ただし、これらの方法には税務上の影響がありますので、税理士や弁護士に相談することが重要です。

  • 移行の選択肢:

 持分あり医療法人から出資額限度医療法人や持分なし医療法人への移行を検討することも有益です。

 これにより、医療法人や社員の税負担を軽減できる場合があります。

 ただし、移行には定款変更や知事の許可などが必要ですので、専門家の助言を得ることが必要です。

  • 相続税の対策:

 医療法人の資産が相続財産となる場合、相続税の支払いや課税対策も重要です。

 医療法人への相続税の支払いを軽減するために、認定医療法人としての特例制度を活用することが考えられます。

 また、相続税対策として、長男が医療法人から資産を取得する方法や他の相続人に対する代償支払いの検討も必要です。

  • 地域医療の維持:

 医療法人の資産を維持しつつ、地域医療の担い手としての役割を果たすことも重要です。

 診療所の土地建物を適正価格で取得し、リースバックする方法や、別の法人を設立して資産を移行する方法などが考えられます。

 これにより、地域医療の継続性を確保しつつ、家族の資産を保護することが可能です。

 

 以上のポイントを踏まえて、事業承継や相続に関する対策を検討し、医療法人の持分ありから持分なしへの移行を行う際には、税務や法的な規定に十分注意して計画を立てることが重要です。