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認知症の母親による遺産分割において

 認知症の母親による遺産分割において、後見開始申立手続きや特別代理人の選任申立手続きを検討する際の法的手続きについてです。

 

後見開始申立手続の検討:

  • 成年後見制度:

 判断能力が不十分な者に対する制度があり、その程度に応じて後見、保佐、補助に分類される。

 それぞれの制度において後見人、保佐人、補助人が選任され、被後見人の財産管理等を行う。

  • 判断能力の調査:

 認知症の場合、判断能力の程度を確認するために主治医の話を聞く、診断書を作成するなどの調査が必要。

  • 後見開始申立手続:

 認知症により判断能力が不十分な場合、相続手続を行うためには後見人の選任が必要。

 後見開始の審判は家庭裁判所で行われ、審判が認められると後見人が選任される。

  • 後見人の選任:

 被後見人の心身の状態、生活および財産の状況、後見人との利害関係などを考慮して後見人が選任される。

 資産が高額な場合、専門職が後見人に選ばれることが多い。

 

特別代理人選任手続の検討:

  • 利益相反の場合:

 後見人と被後見人の間に利益相反が生じる場合、後見監督人がいない場合を除き、特別代理人を選任する必要がある。

  • 特別代理人の選任手続:

 後見人や親族、利害関係者が申立て権を持ち、家庭裁判所で行われる。

 遺産分割協議書案を提出し、審理結果が認容されると特別代理人が選任され、権限行使には善管注意義務がある。

  • 具体的な適用:

 共同相続人である後見人が被後見人を代理して遺産分割協議を行う場合、利害対立があるかどうかに関わらず、特別代理人の選任が必要。後見人が利害相反関係にない場合でも、認知症の母の共同相続人としての立場から特別代理人を選任する必要がある。

 以上の情報をもとに、相続人が認知症の母親に代わって遺産分割協議を行う際には、後見開始申立手続と特別代理人選任手続の双方が検討され、それぞれの手続の法的要件が満たされるように注意が必要です。