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相続放棄を検討する際の問題や手続き

 相続において認知症や未成年者が関与する場合に、相続放棄を検討する際の問題や手続きについてです。

  • 遺産分割協議の問題点:

 認知症や未成年者が関与する場合、遺産分割協議は判断能力の不足から無効となるリスクがあります。

 特に親権者が子供たちに対して単独で親権を行う場合、利益相反関係が生じ、遺産分割協議書だけでは不動産の相続登記ができない可能性があります。

  • 相続放棄の効果:

 相続放棄を行うと、相続人として扱われなかったことになり、他の相続人に財産を集中させることができます。

 ただし、後続の相続人がいる場合は注意が必要です。

  • 相続放棄の手続き:

 相続放棄の申述は被相続人の推定相続人が行います。

 未成年の場合は親権者が行いますが、利益相反が生じる場合は特別代理人を選任する必要があります。

 相続放棄の申述は、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で行われ、相続開始を知った時から3か月以内に行う必要があります。

  • 具体的な適用:

 事例では、認知症の母と未成年の子供が相続人であり、後順位の相続人がいない場合を想定しています。

 子供たちが相続放棄をすれば、母が唯一の相続人となり、利益相反が生じないと見なされています。

  • 注意点と懸念:

 利益相反行為以外にも、代理権の濫用が問題になる可能性があります。

 親権者は裁量が広いが、子の利益を無視して第三者の利益を図る場合には代理権の濫用と見なされ、慎重な判断が求められます。

 以上の情報をもとに、相続に関わる問題を適切に解決するためには、相続放棄が一つの選択肢となり、その手続きには様々な法的要件があることが理解されています。