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袋地になっている土地を媒介する

 袋地になっている土地を媒介するが、その通路が他人の位置指定道路になっている。

 この場合、袋地の購入者にはどのような通行権があるか。

 

1.この物件の購入者には「通行権」はあると思うが、どのような権利があるということになるのか。

 

2.重要事項説明書の作成にあたり、どのような点に注意したらよいか。

 

質問1についての結論:

 袋地において、位置指定道路が他人のものである場合、通行権は囲繞地通行権に基づいて確保されることが考えられます。

 一般的に、袋地の所有者は民法第210条に基づき、囲繞地通行権を有しています。

 この権利は、相隣関係にある所有権共存の一態様として、囲繞地の所有者に通行受忍義務を課し、袋地の効用を全うさせるためのものです。

 通常の通行権とは異なり、この通行権は位置指定道路が他人のものであっても成立します。

 

質問2についての理由:

 (1) 通行権についての理由:

 囲繞地通行権は物権であり、他人に対抗することができるものです。

 位置指定道路が既に存在している場合、袋地の購入者は通行権を有していると考えられます。

 通行権を妨害する者に対して、囲繞地の所有者は通行権を認めさせ、妨害行為を禁止させる権利を有しています。

 

(2) 重要事項説明書についての理由:

 袋地の購入に際しては、重要事項説明書の作成が重要です。

 特に注意すべき点は以下の通りです。

  •  袋地の通行権に関する法的な根拠や権利の明示:

  袋地の通行権が囲繞地通行権に基づくものであることを明確に記載する。

  •  通行権の範囲と制約:

  通行権が認められる範囲や通行に際しての特定の制約について説明する。

  •  承諾料や年間の通行料・維持費等の負担:

  通行権に伴う負担事項について、具体的な金額や条件を明示する。

  •  設備や配管に関する事項:

  通行に際して設備や配管に影響する可能性がある場合、その確認や合意事項を含めた記載が必要です。

 

 通路に関する紛争はよく発生するため、法的な調査が重要です。

 売主(所有者)の説明だけでなく、法的な立場や権利の確認が必要です。