· 

私道での下水道引き込みに関して

私道での下水道引き込みに関して

 

結論:

 公共下水道の供用が開始された地域において、土地の下水を公共下水に接続するための設備設置および改造について、借地権者である賃借人は、賃貸人に対してこれを要求することができ、賃貸人は特段の事情がない限り、これを承諾する義務がある。

 

理由:

 下水道法の規定:公共下水道法に基づき、供用開始地域内においては、土地の所有者である借地権者(賃借人)が排水設備を設置して公共下水に接続する義務が課されています(下水道法第10条第1項)。

 水洗トイレの改造義務:下水道法に基づく改造義務も存在し、くみ取り便所がある場合は水洗便所に改造することが求められます(下水道法第11条の3)。

 

 借地契約の性質:

 借地契約は土地の使用収益を賃借人に約することで成立し、排水設備の設置は通常の土地利用に特別の便益をもたらすものではなく、借地契約の通常の利用上相当なものとされています。

 

 判例の考え方:

 裁判例では、土地の利用に特別な便益を与えない限り、賃貸人は排水工事や水洗便所の新設に協力すべきであり、賃借人が行う工事を妨害してはならないとされています(参照判例)。

 したがって、公共下水道の整備が進んだ地域において、賃貸人は賃借人の下水設備の公共下水への接続を拒否することなく、これを承諾する責任があります。