この裁判事例は、「賃料改定合意と賃料減額確認請求」に関するものです:
事案の概要:
- 賃借人Xが、ショッピングセンター経営のために建物の一部を賃借。
- 賃料月額を約2,935万円として、賃貸借契約を締結。
- 平成4年6月に賃料改定合意を結ぶ(賃料の確認と将来の改定に関する合意)。
- 平成10年9月に増築があり、賃料を3,321万円に変更する旨の合意を締結。
賃料改定合意と賃料減額請求:
- 平成11年7月、Xがバブル崩壊などを理由に、賃料50%の減額請求を提起。
- 合意に達せず、Xが適正な賃料の確認を求めた。
判決の要旨:
- 賃料改定合意について、双方が正面から話し合った形跡がなく合意に至らなかったと判断。
- 増築後の建物の適正な賃料について、差額配分法、利回り法、スライド法、賃貸事例比較法の各手法を用いて算定。
- 差額配分法における賃料に3の比重、利回り法における継続利回り賃料に2の比重、スライド法における賃料に5の比重を与えるのが相当と判断。
- 賃貸事例比較法は採用できないとし、最終的には実質賃料を月額2,842万円とし、敷金運用益を控除して適正賃料を2,798万円とした。
- 追加賃借部分を含めた賃料で、賃貸借変更契約における適正賃料額を平成11年8月1日以降、2,890万円と確認。
まとめ:
- 本判決では、賃料改定合意についての証拠が不十分であるとして否定し、増築後の建物の適正な賃料については複数の算定方法を総合的に判断し、適正賃料を算定して確認しています。
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