この事例は、「更新料支払合意と法定更新への適用の可否」についてのものです:
事案の概要:
- 賃貸人(X)と賃借人(Y)の間で建物の賃貸借契約が締結され、契約には更新料が新賃料の2か月分として含まれていた。
- 賃貸人の代理人が更新料と手続料の支払いを求める書面を送り、賃借人がこれを拒否。賃貸人が更新料等の支払いを求めて提訴した。
判決の要旨:
- 借地借家法の趣旨に照らし、法定更新の場合でも更新料を支払う約定は慎重に扱われるべきである。
- 本件の契約文言は合意更新と法定更新を区別しておらず、更新手続きに費用がかかることは合意更新が前提と考えられる。
- 合意更新の場合、期間が定められ、更新料支払いが正当事由の存在を否定する一方で、法定更新の場合は不安定な立場となり、賃借人にとっては更新料支払いが利益になることが考慮された。
- 更新約定が合意更新を前提としており、法定更新には適用されないという判断が合理的であるとされた。
まとめ:
- この事例では、契約文言が法定更新と合意更新を区別せず、更新手続きに費用がかかることを考慮し、賃借人にとって法定更新においても更新料支払いが利益になることが合理的でないとされました。
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