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賃貸人の不完全履行での損害賠償請求

この裁判事例は、「賃貸人の不完全履行に起因した賃借人の損害賠償請求」に関するものです:

 

事案の概要:

  • 賃貸人(Y)は、不動産媒介業者(A)に対し、カラオケ禁止や臭気の強いものの営業禁止などの条件を付けた物件の媒介を依頼。
  • 賃借人(X)は、条件を確認せずに賃借契約書に調印し、後に条件の漏れに気付く。
  • Yが条件の重要性に気付き、解約通知を出し、債務不履行を理由に保証金や賃料の返還、開業準備費用、逸失利益の賠償を求めた。

判決の要旨:

  • 賃貸借契約書には条件の記載が不十分で、特約による制限がなかったため、営業禁止の契約は成立していないと認定。
  • Yには重過失があり、賃貸借契約は無効ではないものの、使用収益させる義務を怠ったとされた。
  • 契約書の作成は媒介業者Aが行っており、Yの主張できる帰責事由は限定的。
  • Yの不完全履行により賃借人の損害が生じ、既払いの保証金、賃料、開業準備費用に相当する損害が認められた。

まとめ:

  • この事例は、媒介業者が貸主の条件を契約書に適切に記載せずに引き起こされたトラブルを示唆しており、媒介業者の役割と責任の重要性を強調しています。
  • 適切な情報の明示と説明が契約上のトラブルを未然に防ぐことにつながります。