この裁判事例は、「敷引特約」と呼ばれる契約に関するものであり、以下が要旨です:
事案の概要:
- 賃借人(X)は、不動産賃貸業者(Y)から共同住宅の一室を借り受けた。
- 賃借契約では、賃料や保証金、解約時引金(敷引分)などが取り決められていた。
- Xが退去する際、Yは敷引特約に基づき、敷金の一部を差し引いて補修費に充て、残額を返還しない旨を通知した。
判決の要旨:
- 裁判所は、敷引特約の内容が一般的な慣習を逸脱しており、通常損耗の修繕費用を超える部分については、契約が消費者契約法10条に違反して無効であると判断した。
- 特に、敷引分が契約全体の8割にも及び、その趣旨が通常損耗部分の補修費に充てることを逸脱していたとされた。
- ただし、関西地方においては敷金の一部を差し引いて返還する慣習があり、その適正な範囲内では特約は有効であるとされた。
- 2年間の賃貸期間において通常損耗分の補修費用は10万円と見積もり、敷引分の中で30万円を無効と判示。
まとめ:
- この判決は、敷引特約が一般的な慣習や契約の公正性を逸脱する場合には、消費者契約法に基づいて無効と判断されることを示しています。
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