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実質的には居住用として賃貸されたもの

 この裁判事例は、小規模事務所の賃貸借契約において、賃借人が敷金の全額返還を求めた事案であります。

 

事案の概要:

  • 賃借人(X)は、事務所として利用するために、面積34.64平方メートルのマンションの1室を借り受け、敷金25万円を支払った。
  • 賃借契約期間中に4回の更新を経て、契約終了後に賃貸人(Y)に対し、敷金の全額返還を求める訴訟を提起した。

判決の要旨:

  • 賃借人の主張は、賃借契約が事務所用であるから通常の原状回復特約が適用され、原状回復費用が発生すると主張。
  • 対照的に、判決はオフィスビルの賃貸契約と異なり、マンションが実質的には居住用として賃貸されたものであり、通常の住宅と同様にガイドラインに基づいて原状回復費用を算定するべきと判示。

まとめ:

  • この判決は、賃貸物件が小規模であり、居住用途に近い場合には、オフィスビルなどとは異なり、通常の住宅と同様にガイドラインに基づいて原状回復費用を算定し、敷金返還の要求がある場合には、賃借人に敷金の全額返還を認めるという判断を示しています。