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賃貸契約における原状回復

 日本の裁判事例に関するもので、賃貸契約における原状回復に関する合意が消費者契約法10条に違反して無効とされた事例です。

 

事案の概要:

  • 平成8年3月、賃借人(X)とA株式会社との間でマンション一室の賃貸借契約を締結。
  • 平成14年3月に最終の更新契約を結び、その後平成16年3月に法定更新。
  • 平成16年7月にYが本件建物の所有権を取得し、貸主の地位をA株式会社から承継。
  • Xは平成16年9月に賃貸借を終了し、敷金13万円余の返還を求める。

 

判決の要旨:

  • 賃借人に対し、自然損耗等に関する原状回復義務を課す合意は、賃貸期間中に貸主が賃料を受領するが、同時に借主に二重の負担を課すこととなり、不当な利得を生じさせる。
  • 借主には不利益であり、信義則に反する。合意が自己に不利益であることが認識できないままされた場合、信義則に反するとされる。
  • 原状回復義務を借主が負担する合意は、消費者契約法10条に違反し、無効であるとの判断。

 

まとめ:

  • 判決は、賃貸借契約書において自然損耗等の原状回復費用を借主が負担することが合意されていても、借主に必要な情報が与えられず、自己に不利益であることが認識できないままされた場合、その合意は消費者契約法10条に違反して無効とされた。