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賃借目的物の毀損による原状回復義務

 転借人が不法に投棄した大量の産業廃棄物に関連する裁判事例であり、無断転貸した賃借人が賃貸借契約の終了時に撤去すべき義務を負うとされたものです。

 

事案の概要:

  • 賃借人(X)は、県の許可を得て産業廃棄物最終処分場として使用していた土地を、他の借り手(A)に賃貸し、Aが無断で転借し、転借先の借り手(B)が産業廃棄物を不法に投棄。
  • Xは賃貸借契約を解除し、Aの連帯保証人であるYに対して、賃貸借契約終了に基づく原状回復義務の不履行による損害賠償を求めて提訴。

 

判決の要旨:

  • 原審では、産業廃棄物の投棄についてまで賃借契約の解除に伴う原状回復義務があるとは認められず、Yが責任を負う余地はないとしてXの請求を棄却。
  • しかし、賃借人が賃貸借契約上の義務に違反して他者に転借し、投棄された産業廃棄物により賃貸目的物が毀損した場合、賃借人は賃貸借契約終了時に原状回復義務を負う。
  • 原審の判断に法令違反があり、賃借人は契約違反により生じた賃借目的物の毀損について原状回復義務を負うとして、原審の判決を破棄し、更に審理を尽くすよう判決。

 

まとめ:

  • 一般的に、賃借人は賃貸借契約終了時に原状回復義務を負いますが、この判決では契約違反により生じた産業廃棄物の毀損についても同様の原状回復義務があると認められました。