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スケルトン契約は有効

 この裁判事例は、オフィスビルの賃貸借契約において、賃借人が原状回復条項に基づき、通常損耗を含めて賃借当時の状態まで原状回復する義務があるとされたものです。

 

事案の概要:

  • 出版会社などの賃借人(X)は、Yが新築したオフィスビル(7階)の貸室を賃借し、一定の期間後に賃貸借契約を解約。
  • Xは保証金から約定の償却費、未払賃料などを差し引いた残額の返還請求を提起し、Yは不足額の支払いを求めて反訴。

 

判決の要旨:

  • 賃借契約における原状回復条項では、「本契約が終了するときは、賃借人は賃貸借期間終了までに造作その他を本契約締結時の原状に回復しなければならない。」などと規定されている。
  • オフィスビルの原状回復費用は、使用方法や損耗状況によって異なり、通常の住宅とは異なるため、賃借人による原状回復の特約が一般的である。
  • 賃借人の入居期間は予測が難しく、通常の使用による損耗をあらかじめ賃料に含めて徴収することは難しいため、契約終了時に賃借当時の状態まで原状回復させる特約は経済的にも合理的。
  • この判決は、市場原理と経済合理性が支配するオフィスビルの賃貸借において、通常の住宅とは異なり、通常損耗や汚損を含めて原状回復する義務があるとの判断を示している。

 

まとめ:

  • この判決は、オフィスビルの賃貸借契約においては通常の住宅とは異なり、賃借人が通常損耗や汚損を含む原状回復をする義務があることを示しており、市場原理と経済合理性が重要であるとされた。