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売主のなした裁判上の和解と不知の買主の責任

裁判事例の要旨

大項目: 

 裁判事例 - 売主のなした裁判上の和解と不知の買主の責任

 

裁判事例の内容:

 

事案の概要:

  • Xが自宅の南側に6階建てマンションの建築を計画していたY1(注文主)およびY2(建設会社)に対し、日照阻害を理由に建築禁止仮処分を申し立て。
  • 審尋期日で和解成立: 本件建物の5階と6階の一部を削り、最高高さを10cm低くするとの裁判上の和解が成立。
  • Y1およびY2は和解に違反して建物を建築し、影響を受けた区分所有者(Y3ら26名)は和解の内容を知らされていなかった。

 

判決の要旨:

和解の効力:

  • 和解調書は確定判決と同一の効力を有し、Y3らは既判力が及ぶ。

撤去請求の拒絶:

  • Y3らに対する撤去請求は権利の濫用と認定。影響が大きく慰謝料とのバランスが取れないことや、Y3らが事情を知らされないまま和解の効力を承継したことを考慮。

慰謝料認定:

  • Y3らへの慰謝料は100万円と認定。Y1・Y2と連帯して支払うことを命じた。
  • Ⅹの慰謝料は500万円と認定。Y3らとの100万限度で連帯して支払うことを命じた。

 

まとめ:

  • 本判決は、建築禁止仮処分手続中に売買契約を行い、和解成立後に和解の成立やその内容を認識せずに購入した区分所有者に対する違反部分の撤去請求を否定し、損害賠償責任を認めたものである。