· 

土壌の来歴や従前の使用方法の説明義務

裁判事例の要旨

大項目: 

 裁判事例 - 土壌の来歴や従前の使用方法の説明義務

 

事実関係:

  • Xは、土木建築工事の業務を行う株式会社で、建設機械の販売業を営む株式会社Yの所有不動産を平成7年9月に取得。
  • 平成14年夏頃、Xが土壌調査を行い、土壌汚染(鉛及びふっ素)が判明。
  • XはYに対し瑕疵担保責任を求めたが、Yは交渉を拒否。
  • Xは契約の無効を主張し、損害賠償を求めて提訴。

訴訟内容:

  • Xは契約が無効であり、瑕疵に基づく損害賠償を求める。

判決の要旨:

  • Xが土壌汚染の存在を認識せず、誤信していたが、表示されない動機の錯誤に留まり、要素の錯誤とはいえない。
  • 土壌汚染により経済的効用と交換価値が低下し、瑕疵が肯定される。
  • 売主は土地の利用方法による土壌汚染の蓋然性がある場合、土地の来歴や使用方法について買主に説明する信義則上の付随義務を負う。
  • 売主が同説明義務を怠り、買主が調査を行わなかった信頼を裏切った場合、売主は損害の一部を賠償する責任がある。

まとめ:

  • 土壌の来歴や使用方法に関する売主の説明義務が損害賠償責任に結びつく事例。
  • 不動産取引においては、土地利用による汚染の可能性に留意し、売主は誠実な説明を行う必要がある。