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飲食店からの悪臭

裁判事例の要旨

大項目: 

 裁判事例 - 飲食店からの悪臭

 

事案の概要:

  • XはY所有のビル一室を賃借し、婦人服販売店を経営。
  • 地下1階に小料理屋Aが営業を始め、焼き魚の臭いにより婦人服販売に支障が生じた。
  • Xは苦情を申し入れ、悪臭の解決まで賃料支払いを拒否。Yは明渡し請求と未払賃料請求の訴え。
  • Xは悪臭による売上げ減少等の損害賠償を求めて提訴。

判決の要旨:

  • 賃貸人の臭い発生防止の義務は、社会通念上の受忍限度を逸脱する悪臭が発生し、賃貸人がそれを放置または防止策を怠る場合にのみ生じる。
  • Xの多くの顧客が魚の臭いに不快感を示し、悪臭による被害が認められた。
  • Yは悪臭に対する抜本的な解決策を取らなかったため、賃貸人としての義務を怠り、債務不履行責任を負う。
  • 損害額は客観的証拠がないが、店舗の環境悪化による被害を受けたことは認められ、相当因果関係のある損害は80万円。
  • Xが未払賃料等に係る債権を持つが、この債権と損害賠償請求を相殺するとXの請求は成り立たない。

まとめ:

  • 賃貸人は悪臭の発生により賃借物が使用収益に適さなくなった場合に責任を負う。
  • 賃貸人が悪臭問題に抜本的な解決策を取らなかった場合、債務不履行責任を負う。
  • 損害賠償額は80万円と判定され、未払賃料等の債権と相殺されXの請求は棄却された。