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司法書士の本人確認義務と賠償責任

裁判事例の要旨

大項目:

 裁判事例 - 司法書士の本人確認義務と賠償責任

 

事案の概要:

  • ブローカーAがXに、土地を担保に35億円を借りたいとするC(実はD)がいると提案。
  • XはAとBと共にDと会い、資産価値が25億円以上あると判断し、公証人で公正証書を作成。
  • Xは司法書士Yに関連書類の確認を依頼。YはDの運転免許証を確認し、本人であると判断。
  • 登記申請後、Xは22億2,289万円をDに支払ったが、登記済権利書や印鑑登録証明書が偽造文書であったため、登記は却下。

判決の要旨:

  • 他人の委任を受けた者は、委任者が本人であるか確認すべきであり、司法書士は書類を確認し、偽造か否かを確認すべき義務がある。
  • Yは印鑑証明書の確認が不十分である過失があり、透かしの確認が適切ではなかった。
  • 経緯・内容が不自然な契約であり、損害の大部分はXが負担するべきと判断し、8割5分の過失相殺を認めた。

まとめ:

  • 司法書士の本人確認は業務において極めて重要であり、書類の精査・確認は怠ってはならない。
  • 適切な確認が怠られた場合、司法書士に賠償責任が発生する可能性がある。
  • 不自然な契約についても損害の一部を相殺する判断が下された。