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黙示の地役権設定契約

《裁判事例の要旨》

大項目:

 裁判事例 - 黙示の地役権設定契約が締結されたと認定

 

事案の概要:

  • Yが甲土地及び甲建物を取得。Yの父親は昭和初期から甲建物を賃借しており、Yは生まれた時から甲建物に居住。
  • 乙土地はXが平成12年8月に競売で取得。甲・乙土地の間には、本件通路があり、排水管や扉が存在。
  • XがYに対し、乙土地への立ち入りを禁止し、施設の撤去と経済的損失の支払いを求めて提訴。Yは地役権を主張し、通行や下水道の利用を求めて反訴。

判決の要旨:

  • 甲土地及び乙土地の売買の際、本件通路の利用が前提とされ、黙示の契約が締結されたと認定。
  • 通行及び下水道のための地役権がYにあり、Xにはその設定を認識する義務があった。
  • Xは地役権について登記の欠缺を主張できず、Yは未登記での対抗が可能。
  • 長期かつ日常的な通路の利用、譲渡時の物理的状況の客観的確認などを考慮して黙示の地役権の存在を認める。

まとめ:

  • 判決は長期かつ日常的な通路の利用や物理的状況を考慮し、黙示の地役権の存在を認定。
  • 地役権について登記がない場合でも、特定の条件が整えば未登記での対抗が可能であるとの最高裁の判断を踏襲。