事案の概要:
- 平成10年6月、競売手続において、Xが札幌市内の土地建物を1,426万円で落札。競売の対象となった居宅で所有者の夫が1年前に自殺していたことが判明。
- Xは、平成10年7月、代金納付前にこの事実を知り、売却許可取消しの申し立てを行った。
決定の要旨:
- 民事執行法75条1項は、買受けの申出をした後に不動産が損傷した場合を規定しているが、買受け申出前に不動産が損傷した場合でも適用可。
- 所有者の夫の自殺は買受申出の1年前であり、居住者の嫌悪感が持続する可能性があり、交換価値の減少があると判断。
- 民事執行法188条、75条1項を類推適用して、売却許可決定の取消しを認める。
まとめ:
競売物件で自殺が最低価額決定等の手続に反映されていない場合、売却許可決定前であれば、売却不許可の申出により、売却不許可決定がなされる。
売却許可決定後であっても、所有者の夫の自殺が居住者の嫌悪感を引き起こす可能性があり、交換価値の減少があると判断される場合は、売却許可決定の取消しを認める可能性がある。
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