事案の概要:
- Xが建売業者Yから購入した土地(全体土地)の一部である角地(本件土地)及び建物を、特に雨水の貯留や排水状況についての説明がないままに3,600万円で購入。
- 購入後、本件土地が大雨の際に容易に冠水する性状があり、宅地として使用できないと主張して損害賠償を求め、売主であるYの瑕疵担保責任を追及。
- 一審地方裁判所でXの請求が棄却され、Xが控訴。
判決の要旨:
- 地盤が低く、降雨等により冠水しやすい土地の性状は、その土地の経済的価値に影響を与えるが、付近一帯で発生することが多く、価格評価の中で吸収されているため、独立して土地の瑕疵とは認めがたい。
- 宅建業者は売買契約に付随する信義則上の説明義務を負うが、土地の性状に関する具体的事実を把握していない場合でもその説明義務があるならば、そのような事態の発生可能性についての法的な根拠や業界の慣行が必要。
- Yは土地の周辺が冠水しやすいことを認識しておらず、特に説明義務がある法的な根拠や業界の慣行も存在しないとされ、Xの主張は認められない。
まとめ:
- 土地の冠水しやすい性状は価格評価に影響があるが、それが独立して瑕疵となるかは難しい。
- 宅建業者の説明義務には把握可能な具体的事実が必要であり、Yが特に説明すべき事項がなかったとしてXの主張は退けられた。
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