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火災による焼損が隠れた瑕疵である

事案の概要:

  • XがY2の媒介で土地建物を2,980万円で売買契約。
  • 建物は平成4年10月に火災で台所の一部が焼損し、当事者からの説明がなかった。
  • Xは焼損により建物の市場価格が減価したとして、損害賠償をY1に請求。
  • Xは媒介業者Y2にも火災の傷損を調査・告知せず媒介を行ったことにより損害賠償を請求。

判決の要旨:

  • 焼損は建物本体の物理的価値に直接影響を与えないが、買い手の購買意欲を減退させ、客観的交換価値を低下させる事情があると判断。
  • 焼損は下から見え、注意すれば発見できるものであったが、当事者からの説明がなく、媒介業者Y2も気付いておらず、隠れた瑕疵に当たる。
  • 媒介業者は通常の注意を尽くし、物件の外観から認識できる範囲で瑕疵の有無を調査・提供する契約上の義務があると判断。
  • 媒介業者Y2が焼損を確認した上でXに告げるべきであったが、これを怠ったことは媒介契約上の債務不履行。

まとめ:

  • 火災による焼損が隠れた瑕疵であり、媒介業者が調査・説明せずに媒介を行ったことが債務不履行と判定。
  • 隠れた瑕疵の認定例として重要な判例とされる。