大阪高裁の平成12年9月29日の判決に関する事例です。
事案の概要:
- 売主(X)は、業者を通じて買主(Y)に中古マンションを売却。
- Yは入居後、アリの異常な発生に悩まされ、他の居住者からもアリの被害が長期間続いていることを知る。
- Yはアリの被害により売買契約を解除し、損害賠償を求めて訴訟を提起。
判決の要旨:
- 売買契約解除当時のアリの被害は異常発生によるものであり、特異な状況であると判断。
- マンションは築後25年以上であり、害虫の発生・棲息は予測されるものである。
- 住居としての瑕疵は、日常生活に支障を及ぼし、住居としての価値が低減する不可能でない限り認められない。
- アリ被害は異常繁殖によるものであり、全体で対応すれば生活に支障がない程度に押さえることは可能。
- マンション全体の問題であり、暇疵が共用部分に起因する場合とされ、特定の居室の暇疵ではないと判断。
- 解除及び損害賠償請求には理由がなく、不法行為主張も認められないとの判断。
まとめ:
- この事例では、虫の被害による瑕疵担保責任が争われたが、マンション全体がほぼ常に満室である状況やアリ被害が対策できる程度に減少したことなどが総合的に考慮され、売主の瑕疵担保責任は認められなかった。
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