東京地裁の平成17年12月5日の判決に関する事例です。
事案の概要:
- 売主業者(Y)と買主(X)が、平成14年7月にマンションの売買契約を締結。
- 売主は、新築建物でシックハウス症候群の原因であるホルムアルデヒドを抑えるための建材を使用した旨を記載した資料を配布していた。
- 買主(X)は引き渡し後に室内空気環境調査を行い、ホルムアルデヒドの濃度が基準を超えていることを発見。
- Xは建物がシックハウスであり、居住不可能と主張し、契約の取消しと損害賠償を求めた。
判決の要旨:
- 売主(Y)は環境物質対策基準を充足する建材を使用したとしていたが、ホルムアルデヒド濃度が基準を相当程度超えていた。
- 契約成立時には建物が当時の指針値に適合しているとされていたと認定。
- ホルムアルデヒドの濃度が基準を超え、それが一般的な注意では発見しにくい性質のものであるため、売主の瑕疵担保責任を認定。
- 判決はシックハウス症候群の社会問題化と、建築基準法の改正を考慮し、不動産取引における瑕疵について範囲が拡大する傾向を示している。
この判決は、化学物質による汚染が瑕疵担保責任として取り上げられたものであり、これにより不動産取引における瑕疵についての考慮が拡大していることが示唆されています。
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