裁判事例概要
タイトル:
裁判事例取引の危険性を告知すべき媒介業者の義務
判決日:
平成12年11月30日判例時報:1749号 96頁判例タイムズ:1110号 150頁
事案の概要
- 平成8年4月、業者Yは業者Aから、Aが所有する土地の売却を依頼された。
- 土地の所有権はAに贈与され、1月以内に法人B(代表者はAではない)に移転。Aは債権者から逃れるためだとYに説明。
- X1とX2はYの媒介で、Bとの間で土地の購入契約を締結。登記も完了。
- 実際にはAが死亡した真の所有者の印鑑証明書を偽造し、登記官は気付かず登記を受理。
- 真の所有者の相続人が訴訟を起こし、Xらへの所有権移転登記が抹消された。
判決の要旨
- 仲介業者には、売主が物件の真の所有者であるか否かの確認をする義務がある。
- 売主の所有権に疑念がある場合、媒介業者は調査し、確認できない場合は買主に危険性について注意すべき。
- 媒介業者YはAの所有権に疑念がありながら確認を怠り、買主に危険性を告知しなかった。注意義務を欠いており、損害賠償責任を負うべき。
裁判のポイント
- 所有権移転に疑念がある場合、媒介業者は調査・確認を行い、買主に危険性について注意義務を果たすべき。
- 登記官の不適切な行動により国の損害賠償責任も認められた。
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