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宅建業法に違反する形での手付金

 この事例は契約違反に関するものであり、売主業者が期日までに引き渡しを行わず、宅建業法に違反する形で手付金を受領し、その他の不正行為を行ったとして免許取消処分を受けたケースです。

 

事実関係

  • X1はYとマンションの売買契約を2,165万円で結び、手付金1,500万円を支払った。引渡しは期日までに行われず、変更後の期日も履行されなかった。
  • X2も同様にYとマンションの売買契約を1,750万円で結び、手付金1,000万円を支払ったが、引渡し期日までに履行されなかった。
  • X1とX2は、取引主任者Yが重要事項説明書に登記された抵当権の内容を記載せず、取引主任者Yがその説明を行わなかったとして、行政庁に相談し、代理人弁護士による被害届を提出。

事情聴取

行政庁でYに確認した結果、引き渡し未了や誤った重要事項説明の他に、以下の違反が判明。

(ア) 引渡し期日までに引き渡しを行わなかった。

(イ) 売買代金の10分の2を超える手付金相当額の違約金を定めた。

(ウ) 売買代金の10分の1を超える手付金を受領し、その前に保全措置を講じなかった。

 

処分

 

行政庁は、Yに対して以下の違反行為により免許取消処分を下した。

(ア) 期日までに引き渡しを行わなかった。

(イ) 重要事項の説明において誤った説明を行った。

(ウ) 制限を超える違約金の定めを行った。

(エ) 制限を超える手付金を受領し、その前に保全措置を講じなかった。

 

 取引主任者であるYに対しては、重要事項の説明において抵当権の内容を故意に説明せず、その情状が特に重いとして登録を消除した。