裁判事例概要
タイトル:裁判事例ローン特約を付すべき注意義務
裁判所:大阪高等裁判所
判決日:平成12年5月19日
要旨:
- 媒介業者が買主のローンが下りなければ契約が白紙になることを十分認識していた場合、媒介業者には契約にローン特約を付すべき注意義務があるとされる事例。
事案の概要
- 買主Xは、業者Y2の媒介で業者Y1から土地を3,300万円で購入。また、Y1に住居兼事務所の建築を2,700万円で請け負い、手付金400万円を支払った。
- 土地売買契約書及び建築工事請負契約書には、いわゆるローン特約は付されていなかった。
- 資金計画を詳細に媒介業者Y2に告げていたが、融資が否認され手付金が没収された。
- 債務不履行に基づく400万円の損害賠償請求と、債務の認証を求めて提訴。
判決の要旨
- 資金計画の詳細を媒介業者に説明しており、媒介業者がローンが下りなければ契約が白紙になることを十分認識していたときは、黙示の合意があると認められる。
- 売買契約にはローン特約がなく、後のマンション売却契約には明示のローン特約があるが、両契約の不可分性から本契約にも予定していたと判断された。
- 媒介業者は予め注意義務を遂行するべきであり、その不履行があった。
- 債務の認証拒否に対しては、買主には重大な過失がなく、不動産の取引経験がない一般消費者であることを考慮し、認証を求める判断となった。
まとめ
- 本判決は、買主と媒介業者の関係において、媒介業者が資金計画を理解し、契約にローン特約を付すべき注意義務があると判示している。
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