この事例は、自宅での契約締結とクーリング・オフに関するトラブルを扱ったもので、名古屋高裁での判決が示されています。
事案の概要
- 宅建業者Yは建売住宅を販売する計画を立て、隣地のX宅に挨拶として名刺を投函した。
- XとYの電話のやりとりの後、YはX宅を訪れ、土地の売買の仮契約を締結。手付金200万円の内金として30万円を支払った。
- 仮契約締結後、XとYはX宅で本契約を締結し、売買代金を2,980万円余とし、Xは手付金の残り170万円を支払った。
契約の特約と問題の発生
- 契約には、Xが所有する別途土地建物(X別宅)との等価交換方式での土地建物の購入特約が含まれていた。
- XはX別宅の農協の抵当権の付替えについて相談し、付替えができない旨の回答を受けた。
- Xは契約内容に納得できず、クーリング・オフを理由に契約解除の意思表示をし、手付金の返還を求めたが、Yはこれに応じなかった。
一審地方裁判所の判決
- 一審ではXの請求が退けられ、Xが控訴した。
名古屋高裁の判決要旨
- Yの主張は採用できない。Xが電話で申し入れ、Yに来訪を求めたという主張に疑問があり、実質的にはYがX宅を訪問して売り込みを行った可能性がある。
- Xが契約に関する説明を受ける場面でクーリング・オフをする場合は、クーリング・オフの意思表示が有効とされるべきである。
- したがって、一審の判決を取り消し、Xの手付金200万円の返還請求が認容されるべきである。
まとめ
- この事例からは、クーリング・オフに関する紛争では、業者と顧客の間での事実関係が重要であることが示唆される。
- 業者は誠実かつ説明責任を果たし、顧客の理解を得るべきであるとされている。
- 強引な勧誘が行われた場合、顧客の主張が認められる可能性が高まることが判示されている。
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