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相続登記が義務化された背景

相続登記が義務化された背景:

 1. 所有者不明の増加:

 相続登記が任意であるため、所有者が誰か不明確な土地や建物が増加しています。

 2016年時点で全国の所有者不明率は20.3%で、所有者不明の土地面積は約410万haに上ると報告されています。

2. 所有者不明の土地面積の拡大:

 所有者不明の土地面積が増加することで、土地利用や管理に関する問題が生じています。

 国土交通省はこれを受け、適切な不動産管理を確保するため相続登記の義務化を推進しました。

 

相続登記が義務化されないケース:

 

・相続人申告登記:

正当な理由で手続きが進まない場合、「相続人申告登記」を行うことで相続登記の義務化は免れます。

・他にも「正当な理由」があれば、法定された期限を過ぎても罰則は免れます。

 

正当な理由がある場合:

 正当な理由として、被相続人の遺言書の効力について裁判が進行中である場合や相続人が病気で治療に専念している場合などが挙げられます。

 

相続登記を怠ると生じるデメリット、リスク:

1. ペナルティ:

 相続登記や申告手続きが期限内に行われない場合、過料が課されます。

 期限内に相続登記を怠ると10万円以下の過料が、相続人申告登記を怠ると5万円以下の過料が科せられます。

2. 不動産の活用難:

 相続登記がないままでは、不動産の所有者が誰かわからないため、購入希望者が現れても取引が難しい状況が生じます。

 マイホーム建築の際も土地の所有者が確定していないと、住宅ローンの契約が難しくなります。

3. 公共事業や再開発に影響:

 未登記の土地が増加すると、公共事業や再開発などの土地利用計画が遅延する可能性があります。

 土地の所有者が不明確なため、合意を得るプロセスが複雑化し、事業の進行に支障が出ることが懸念されます。

 相続登記を怠ることで、所有権の不明確性や行政処分に関する問題が生じ、円滑な土地利用や不動産の有効な活用が難しくなります。