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特別受益がある場合の遺産分割

 特別受益がある場合の遺産分割には、相続人どうしで公平な分割が求められます。

 以下は、特別受益がある場合の遺産分割の方法や注意点についてです。

 

特別受益の遺産分割方法:

 特別受益を相続財産に加える(特別受益の持ち戻し):

 特別受益者が受けた特別受益の価額を相続財産の総額に加算します。

 これを「特別受益の持ち戻し」と呼びます。

 

相続財産を特別受益者およびその他の相続人で分け合う:

 特別受益を加算した相続財産を、特別受益者とその他の相続人で分け合います。

 

特別受益者の相続分を計算:

 特別受益者は、相続分から特別受益の価額を差し引いた残額を相続します。

例:

 相続人がA、B、Cの3人であり、相続人Aが特別受益者であったとします。

 特別受益者Aが受けた特別受益の価額を相続財産の総額に加算します。

 特別受益を加算した相続財産をA、B、Cで分け合います。

 相続人Aがもらえる遺産の価額は、相続分から特別受益を差し引いた残額となります。

 

特別受益が相続分を超過する場合:

 特別受益が上記の方法で求めた相続分と等しいか相続分を超過する場合は、特別受益者は相続で財産を受け取ることができません。

 この場合は、特別受益のない相続人どうしで相続財産を分け合います。

例:

 特別受益が相続分を超過する場合、特別受益者は相続財産を受け取らず、特別受益のない相続人どうしで相続財産を分け合います。

 

特別受益の持ち戻しに時効はない:

 特別受益の持ち戻しには時効がなく、いつでも特別受益を相続財産に戻すことができます。

 ただし、2019年以降の法改正により、特別受益の持ち戻しには相続開始前10年間のものに限定されています。

 

特別受益の主張は他の相続人が行う:

 通常、特別受益者が自ら相続分の減額を申し出ることは少ないため、特別受益のない相続人が特別受益の持ち戻しを主張します。

 特別受益を主張する場合は、その時期や金額を明らかにするための証拠が必要です。

 

 証拠としては、遺言書や贈与契約書、通帳や預金口座の記録、登記事項証明書などが役立ちます。

 特に、特別受益が生前贈与である場合は、贈与契約書やその他の記録が証拠となります。

 特別受益があったことの立証が難しい場合は、相続問題に詳しい弁護士に相談することが重要です。